佐賀県退職校長会

佐賀県退職校長会

令和6年度県PTA連合会・県高等学校PTA連合会との教育懇談会報告

 令和7年1月16日(木)14:00~16:30、グランデはがくれにおいて県PTA連合会から4名、県高等学校PTA連合会から3名、退職校長会から9名の参加者で教育懇談会を実施、以下その報告です。

 協議題を「PTA・退職校長会による不登校対策への学校支援について」とし、最初にPTAと退職校長会で現状を把握し、共通認識を図るために県学校教育課生徒支援室の池田忠德室長から「不登校の現状と対策について」不登校の現状、佐賀県の不登校対策について具体的に数字をあげて説明をしていただきました。

 〇不登校児童生徒数は全国・佐賀県ともに増加状況であり、その原因は多い順に学校教育に対してやる気のなさ、不安・抑うつ、生活のリズムの不調の順。
  小中学校千人当たりの不登校児童生徒数(佐賀県31.9人、全国37.2人)
  高校千人当たりの不登校生徒数(佐賀県25.2人、全国23.5人)

 〇佐賀県の不登校対策の取組方針

 柱1 すべての児童生徒を対象とした魅力ある学校づくりと初期対応の充実

・魅力ある学校づくり(居場所づくり・絆づくり)
・初期対応の取組(不登校傾向の児童生徒への適切な個別対応)

 柱2 不登校及び不登校傾向の児童生徒一人一人の状況に応じた支援の充実

・訪問支援による社会的自立サポート事業(スチューデント・サポート・フェイスによる委託事業、訪問支援員の学習支援やカウンセリング)
・教育支援センター機能強化事業(県の教育支援センター「しいの木」が中核となり18市町21箇所の教育支援センター等の関係機関との連携)
・別室における学校生活支援事業(県内13市町27校で校内に別室(校内教育支援 センター)を設置し、常駐の学校生活支援員を配置)
・スクールカウンセラー等配置事業、スクールソーシャルワーカー活用事業
・保護者への支援(「保護者のための不登校対応支援ガイド」のリーフレット配布)
・児童生徒支援加配(令和6年度は13校に配置)

  この後、PTA、退職校長会からのいくつかの質問に対して説明を加えていただき、さらに理解を深めることができました。

 次に、不登校対策について、PTAと学校が連携して取り組んでいる事例報告を、この会の参加者の一人である前小城高校校長牛島徹氏(県高等学校PTA連合会事務局長・退職校長会本部役員)に急遽お願いしました。以下その内容です。小城高校に赴任した令和4年度から活気ある学校づくりに着手し、まず生徒主体のイメージに変えるため、校務分掌の名称を生徒指導から生徒支援に、進路指導を進路支援に変更するなど、大胆な組織と意識改革を行った。環境を変えることが学校の活性化につながりそれが学力向上、不登校やいじめ対策につながるとの信念の下、全校職員・生徒・保護者が一丸となって「共生社会」の実現に向けての取り組みを行った。折しも令和5年度から文科省の研究指定を受けたこともあり、九州大学や小城市との連携協定を結び、この取り組みを加速することができた。また、「心の偏差値日本一」を掲げ、共生社会・生徒推進リーダーが推進役となり、九州大学の学生との交流、パラアスリート津田理恵さん(ゴールボールパラ五輪金メダリスト)による講演などで『一緒に認め合い、一緒に活動する「共生社会」の考え方』を教職員・生徒・保護者に浸透させてきた。その結果、令和5年度の入学者は転・退学者ゼロ、不登校ゼロの結果に繋げることができた。また、学校生活に関するアンケートにおいても年々充実感が高まっており、活気あふれる学校になってきていることがわかるという報告でした。

 これらの説明・実践報告を基に、ともに学校の応援団である県P連、県高P蓮、退職校長会が、それぞれの立場で不登校対策に関わり、支援出来ることなどについて協議・意見交換を行いました。以下、この懇談会全体での要望や質問等です。

〇学校現場には教育の質の向上等、子どもたちのための働き方改革を行ってほしい。(PTAより)

〇退職校長会には支援員や加配教員として不登校児童生徒の社会的自立への支援に協力をお願いしたい。また、小学校低学年で不登校になると学力の面で心配が出てくる。(生徒支援室より)

〇学校支援員として協力するための道筋はどうなるか。(退職校長会より)
回答は市町がハローワークに求人票を出しているので、それを見て対応してほしい。(生徒支援室より)

 限られた時間内で十分な協議・意見交換はできませんでしたが、池田生徒支援室長から説明していただいた佐賀県の取り組みや、小城高校の実践報告は、参加者がそれぞれの立場で今後実践していくことができると確信した教育懇談会になりました。退職校長会としても市町の教育委員会や近隣の学校に足を運び、不登校の実態を把握するとともにその解決策に向けて現場の先生方と共に知恵を出し合うことができればと思った会議でした。